公共賃貸の入居資格、母子家庭の場合はどうなるの?
日本に100万人以上いると言われる母子家庭世帯。
自分がもし、シングルマザーであれば、何をおいても「仕事と家」を確保したいと思うでしょう。
しかし、現実には、民間の賃貸物件に入居したくて不動産会社に問い合わせをすると、母子家庭であることが分かった瞬間、すげなくされるという悲しいケースはめずらしくないようです。
賃貸物件のオーナーにとっては、収入が安定しているどうかがとても重要なので、「シングルマザーは正直ちょっと心配……」と考える方も多いかもしれません。
でも母子家庭の方にとっては非常に深刻です。
では、公共賃貸の入居資格、母子家庭の場合だったら何か制約があるのでしょうか?
あるいは優遇措置はあるのでしょうか?
・公社賃貸には、特例や抽選の優遇措置も
母子家庭を支えるお母さん達にとって、一般家庭のような収入を得ることが難しいケースも多いでしょう。
そういった場合は、公共賃貸が非常におすすめです。
公共賃貸なら、入居資格を満たせば母子家庭であっても問題なく入居することができます。
公共賃貸の場合は、礼金・手数料・更新料がありません。
つまり、初期費用が必要ありませんので、母子家庭にとっては非常に魅力的な物件なのです。
公共賃貸である公社賃貸の一般賃貸住宅は幅広い物件が魅力ですが、申し込むには一定の収入以上がなければなりません。
一定の収入以上となると、母子家庭の場合は厳しい世帯があるかもしれません。
そういったことを考慮して、母子家庭の場合は、月収基準に関する特例が認められています。
連帯保証人を立てる、かつ保証人に月収基準以上の収入があるという条件を満たせば、申込者本人が月収基準を満たさなくても申し込むことができるのです。
なお、一般賃貸住宅の場合は、多くの場合先着順で決定します。
公共賃貸のなかでも都道府県営もしくは市町村営の公営住宅は、もともと低所得の方に安定的に住宅を供給することを目的とされています。
一定の所得以下の方しか入居資格が認められないことが公社の一般賃貸との大きな違いです。
家賃も所得に応じて設定されます。
母子家庭にとっては非常にうれしい制度ですが、募集方法は多くが抽選で行われ、残念ながら、競争率は非常に高くなってしまっています。
ただ、母子家庭に対しては、抽選の当選率が優遇されることになっています。
・UR賃貸では母子家庭に特例も
UR賃貸では一定以上の収入があることが入居資格となりますが、これは母子家庭にはハードルが高い基準ともいえます。
そこで、母子家庭のような配偶者のいない世帯には特例が認められています。
通常、毎月の平均収入額が基準月収額(家賃の3倍または33万円)以上、または貯蓄基準額(家賃の100倍)以上の貯蓄があることが入居資格として必要なのですが、配偶者のいない世帯は、収入が基準月収額の半分に満たない場合でも申し込むことができます。
ただし、その場合は、扶養等親族の平均収入額が基準月収額以上、あるいは貯蓄額が基準貯蓄額以上あることなどが求められます。
また、契約時には扶養等親族が連帯して家賃の支払い義務を負う覚書も取り交わします。
このほか、UR賃貸には家賃割引のプランが適用される物件もあります。
・そのママ割
子育て支援プランの1つで、18歳未満の子供を扶養している世帯が対象になります。
最大で3年間、家賃が20%引きになるうれしいプランです。
これは契約期間が3年間と定められた定期借家契約ですので、その物件で再契約ができたとしても再契約後は通常の家賃になります。
・U35割
申込者本人が35歳以下のシングルマザーであればU35割の適用を受けることができます。
通常より最大20%の家賃で入居できます。
この場合、同居できるのは35歳以下の親族のみとなります。
・子育て割
子育て世帯なら最大で6年間家賃から20%減額されます。
公共賃貸には多くの物件がありますが、管理団体や募集時期によって入居資格が異なります。
また、お得な割引プランが適用される物件があらかじめ限られている場合もあります。
母子家庭の方で公共賃貸物件に入居を希望する際は、まずは管理団体への確認が必要です。