賃料はどのように値付けをされているのか、実際に賃料が下がるのはいつなのか?
不動産賃貸契約を結ぶ時には多くの場合、期間は2年間と定め、もし更新を希望する場合には「新賃料」1ヶ月分を更新料として支払うとされています。
しかしここで出てくる「新賃料」とは何なのか?更新の時期には家賃が上がっているのではないか?と思ったことがある方は多いでしょう。
これは今後、賃料の変動が起こり得ることを示唆した文言ですが、こうした家賃の上がり下がり、変動というのは、不動産賃貸業界では一体どのようにして起きているのでしょうか?
今回はこの点について詳しくお伝えします。
賃料は景気の煽りを受けやすい?
不動産業界においても賃貸に関しては、売買よりも経済状況によって受ける影響が少ないとされてきました。
しかし公益財団法人不動産流通近代化センターが発表した2016年9月期改訂の資料によりますと東京23区の賃料にはなりますが、2008年の「リーマンショック」が起きる以前の平均値はかなり高水準を維持していました。
しかしそれ以降、煽りを受けて賃料はかなり下落してしまいました。
最大で平均2万円以上の下げ幅だった時期もあったようです。
またこの当時は、話題にもなったいわゆる「派遣切り」などの雇用調整が多くの企業で実施され、賃貸物件には空き部屋が目立つようになりました。
これで大家は家賃を下げざるを得なくなったのです。
これと同じような状況が発生した地方などでもやはり賃料は下がったといわれています。
これは極端な例にはなりますが、景気動向は賃料の変動に一定の影響を及ぼしているといえます。
一年を通じて季節や時期で変動が起きるのか?
季節によって賃料が変動するといったことはほぼないといえます。
しかし引っ越しシーズンである2~3月あたりは、賃貸物件の需要が増えますから大家も強気で賃料を上げることが多いようです。
そしてそれを過ぎた4月くらいから下げ始め、8月くらいに最も安くするのが一般的です。
しかしこれはあくまで需要に波がある首都圏や大きな地方都市に特に言えることであり、需要と供給の幅が少ない田舎の方においては変動が少なくなります。
また首都圏といっても東京に限っては、意外にも賃料は下がり続けている場所が多いようです。
これは「借りるよりも手元に残すために買う」という考えの方が増えたため、分譲マンションの需要が高まり賃貸物件の需要が下がった影響があるためと考えられます。
建物の老朽化がもたらす空室の問題
最近問題にもなっているアパートやマンションの老朽化も賃料の変動に影響を与えています。
現在、築30年・40年を迎えるアパートなどの木造・軽量鉄骨物件が多くなり、一方で新築物件の供給は増えているため老朽化が進んだ物件の空室率は首都圏を中心に高くなっています。
借り手としては、昨今の防災意識も高まりなども受け、より頑丈な造りをした新しい物件を選ぶ傾向があります。
こうした理由で長期間、空室状態になるのを避けたい大家は、家賃を下げざるを得ないのです。
こういった状況も賃料の変動に少なからず影響を及ぼしています。